「ちっ…ガス欠かよ」

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次に男は『重要機密』の印が捺された資料に目をやる。 そこに記されているのは、死亡した男により与えられた不自然な情報の数々。 そして解剖の結果明らかになった、新たな"謎"についてである。 以下、箇条書きにて記す。 ・男はマチュピチュで行方不明になって以降、メキシコシティで発見されるまでの間にブラジリア、パナマ、オタワで目撃例があった ・マチュピチュで行方不明になった7人の内、その男以外に目撃例がない ・男のビデオカメラには、謎の風景と謎の生物の映像が遺されていた ・男の身体から未知の岩石が発見された ・男の身体には謎の生物による噛み傷があり、末端器官や内臓の一部が石化していた ……等である。 男は資料に目をやりながら、自らの軽薄さに呆れるばかりであった。 この場所に辿り着く直前、男はメキシコシティ市街をマグナで疾走していた。 (正直…眉唾物だな) とも考えた物だった。 しかし、事実こんなところに迷い込んでしまったからにはそうも言っていられない。 「フッ…」 男は自嘲混じりに小さく溜め息を吐いた。
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