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「おっはー!就チャン♪」
猿飛が我の元へとやってくる。
軽い挨拶だがそれが猿飛らしくて思わず笑みが溢れる。
「おはよう、猿飛。朝から元気だな。」
「元気よくいかなきゃ気づいてもらえないと思って。朝から熱い視線受けちゃって。モテモテだね?」
熱い視線?
周りを見るとクラスの女子数人と目があった。
「イケメンだもんねー、妬いちゃいそう。」
「いけめん...そういう風に見られているわけではないと思うが。我は猿飛の方がカッコいいと思うぞ?」
「え?!そう来る?!」
頬を紅くして目を逸らす猿飛。
その動作が可愛らしくて思わず頬が緩んでしまう。
「も、毛利君。部活動、何入るか決めた?」
我らの元へ女子が数人やってきた。
部活動?
そう言えば2年への編入だから、周りは既に部活動に入っているはず。
我は首を横に振る。
すると女子達は嬉しそうに吹奏楽に入らないかと誘ってくれた。
「吹奏楽、か。考えておく。」
「ほんと!?嬉しい!!ちゃんと考えてね♪」
きゃっきゃと騒ぎながら席へと戻る姿を、頬を膨らませた猿飛が恨めしそうに見つめている。
「就チャン、吹奏楽入るの?」
「いや、まだ入ると決めてはいない。猿飛は何に入ってるんだ?」
「...サッカー。ねぇ就チャン、サッカー入らない?」
真田もいるとの言葉に、サッカーも魅力的に見えてしまう。しかし我は体力面では自信がない。迷惑をかけるのは申し訳ないし...
「じゃあbaseballはどうだ?」
いつからいたのか、伊達が話しかけてきた。
するりと首へ腕を回すとにやりと笑う。
「熱い青春しようぜ?」
「暑苦しいの間違いでしょー。ほら、その手を離して?昨日の今日で馴れ馴れしくしすぎ!」
「hotでcool だぜ?西海の鬼が顧問だしよ。」
長曾我部先生が...顧問、か。
「どれも楽しそう故、放課後見学して決めようと思う。」
我は誘ってくれる伊達にそう伝えた。
絶対見に来いよ、と言い残して隣のクラスだった伊達は戻っていく。
「ったくスキンシップがいきすぎてるよね!放課後、俺様も一緒に回るよ。案内も兼ねて。」
「ありがとう。」
まだ始まってもないのに、もう楽しみに思えて仕方がない。
再び頬が緩むのを感じた。
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