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―――昼休み
「放課後、見に来るのか?」
長宗我部先生に、朝の出来事を話す。
そして野球部も見学に行くことを伝えた。
しかしだんだんと眉間に皺が寄り、まるで来てほしくないと言われているようだった。
「...野球部は、我に向いてない...」
「いや、そんなことねえ!...ただあのむさ苦しい奴等とあんたが一緒に野球ってのがイメージ出来なくてな。」
イメージ...
どうやら我はスポーツ系ではないらしい。
そりゃそうか、あまり肉のついてない己の体を見て思わず溜め息が溢れる。
「マネージャーはどうだ?作戦とか考えるの毛利得意そうではないか?」
気がつけば徳川が隣に座っていた。
「マネージャー...なるほど、その手もあるか」
「スポーツ、したいんだろ?体力に自信ないなら知略で攻めたら良いだけさ!」
にこりと笑う徳川の言葉に胸が軽くなる。
やはり徳川は凄いな。いるだけで場が明るくなる。
わしは陸上部だから見に来いと言ってくれる言葉に大きく頷く。そんな我等を長宗我部先生はどこか複雑そうに見つめていた。
―――――
――――――――
「さーてと!どこから見に行きますかっと」
猿飛は大きく伸びをすると我を振り返る。
放課後になり、至る所で楽しそうな声が聞こえてくる。
「まずは...猿飛のいるサッカーで!」
「はいはいっと!」
猿飛に導かれ、部活動見学が始まった。
―――――
「おお!!毛利殿!!来てくれたのでござるか!」
駆け寄ってくる真田の後ろに犬のしっぽがある...ように見えた。
「少し落ち着いて!せっかくだから、カッコいいとこ見せてねー」
猿飛の言葉をきっかけにアクロバティックなほどの真田の技が炸裂する。
....これは本当にサッカー、なのか?
「お!オレの活躍を見にきたのか?」
「伊達...そうか、サッカーと野球部はグラウンドを一緒に使ってるのだな。」
「yeah!coolな技見せてやるぜ?」
暑苦しいまでのサッカー部と野球部の練習をただ呆然と見つめていた。
隣で解説をしてくれる猿飛はノリノリだ。
あ、何だか頭が痛くなってきた...
長時間日に当たっているからか軽い眩暈がする。
「大丈夫か?顔色悪いぞ。」
ひょいっと我の顔を覗き込むのは長宗我部先生だった。先生の低い声に少しだけ力が抜ける。
「少し眩暈がして...」
「こんな暑いところで見てるからだ。こっちこい。」
我の腕を引いて、長宗我部先生は木陰へと連れていってくれた。
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