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何か思うかと聞かれれば、桜の枝にぶら下がる変な男だと思う。 だがそれをこの男は求めているのだろうか…。 「……間違いはないと思うけど、“毛利元就”だよね?」 「何故貴様が我の名を知っておるのだ?我等は初対面のはずだが…」 「えっ…初対面!?」 再び目を見開く男、我は思わず溜め息がもれる。 「人違いだな。…で、職員室に案内してくれるのかくれないのか。」 「…あ…案内します…」 「ならば早く案内しろ。」 まだ現実を受け入れられない様子の男は、渋々動き出す。 しかし、同姓同名の人間違いとは……こういうこともあるのだな。 我は妙に感心しながら、男の後をついていく。男は明るいオレンジ色の髪をしていた。 そういえば、ここの校則はほぼ自由に等しかったか。 「到着、ここが職員室だよ。」 「わざわざすまなかったな。礼を言うぞ。」 「……本当に記憶がないんだ。というか別人?…いや、俺様の勘は当たるんだけどなぁ。」 ぶつぶつと呟く男は置いておき、我は職員室へと入ることにする。 「失礼します。」 この職員室は珈琲と紙の匂いが混ざりあっているようだ。 「おっ、君は転校生だね?私が君のクラスの担任をする山本だ。」 感じの良い笑みを浮かべたこの爺さんが担任か。前の学校の担任と似ているし、少し安心した。 「毛利元就です。今日からよろしくお願いします。」 「此方こそ。まぁクラスの方は、新学期始まったばかりだし直ぐに馴染めると思うよ。」 そういうと山本先生は、クラスに向かうため準備を始めた。 「元就君?」 ふと物腰の軟らかそうな男が我の名を呼んだ。落ち着いた色のスーツに、白い髪が馴染んでいる。 「彼は竹中先生。歴史を担当してくれているんだ。女子にモテモテなんだぞ。」 すかさず山本先生が紹介をしてくれる。“竹中先生”か、確かに女にモテそうな先生だな。 「毛利元就です。歴史は好きなので、授業楽しみにしています。」 にこりと笑えば、竹中先生は少し驚いた顔をした。 「あ、ああ…僕も楽しみにしているよ。」 「では毛利君、クラスに行こうか。」 出席簿等を抱え込んだ山本先生。準備が出来たようだ。 我は竹中先生に軽くお辞儀をすると、山本先生の後をついていく。
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