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教室へと向かう道中も、桜が風で揺れている姿が目に入る。 「今日も集まるかね。」 山本先生がぼそりと呟く。我は何のことかと視線を向ければ、山本先生は楽しそうに話してくれた。 「昼休みになるとね、ある仲良しグループが花見をしながら弁当を食べているんだ。」 花見、弁当… それは考えるまでもなく、魅力的な組み合わせ。 「いつも楽しそうなグループでね、長曾我部君もそのグループに入ってるんだが… あ、長曾我部って言うのはここの体育教師だよ。生徒達に信頼されててよく相談もされてるなぁ。」 誇らしげに語る山本先生を見ていれば、長曾我部という教師の人柄の良さが感じられる。 ほんと、ここを選んで正解であったな… 我はもう1度、桜へと目を向ける…と、見覚えのある姿が目に入った。 「あの男は…」 朝案内を頼んだ男ぞ。 「ん、猿飛のこと知っているのかい?」 「あ、はい。朝職員室までの案内を頼んだゆえ…」 猿飛と申すのか。 桜の木の下で、何やら考え事をしているらしい。難しい顔をしていた。 「猿飛は君と同じクラスだ。まだ時間もあるし、猿飛と一緒に教室に来るといい。私は先に行っておくよ。」 そう言い残して、山本先生は先に教室へと向かう。…案内の礼をもう1度しておくか、これも何かの縁かもしれぬからな。 我は扉を見つけると、桜が踊る中をゆっくりと歩く。 「どうしよっかなー、やっぱり旦那の耳にはいれとくべきか…。でも鬼の旦那に伝えるの怖いな。」 「鬼とは…何ぞ?節分か?」 「違うってー。西海の鬼のこと……え!?」 面白いほどの大きなリアクションに我はにやりと笑ってみせた。 ほんと、猿飛は面白い男ぞ。
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