鴨と鷺

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目の前のテーブルに茶封筒が置かれている、同窓会の通達だ。期日は明後日で、浅沼はその日の為に新しくスーツを拵え、長く伸びた髪の毛を切るために美容室を明日の昼に予約していた。 前髪を弄りながら水槽を眺めていると、ポケットに入れていた携帯電話がブルブルと震えだした。 取り出して画面を見てみると、大野と名前が表示されている。 大野は浅沼とは小学生からの親友であり、中学、高校、大学とずっと一緒だった。その事を知っている友人達は浅沼と大野のコンビをバッテリーと呼んでいる。 通話ボタンを押し、右耳に添える。大野の低い声音が聞こえてきた。 「よぉ、浅沼。お前さ明日暇か?」 「明日?んー、夕方からなら暇だよ」 「夕方かー」と大野の落胆の声が聞こえる。小さく「どうしようかな」と聞こえてくる。 「どうかしたのか?」と浅沼が訊くと、大野は唸って言いにくそうに口を開いた。 「明日さ、昼の三時から人気アイドルのコンサートがあるんだよ」 「アイドルのコンサート?」と浅沼が聞き返すと大野は「イエス」と陽気に言った。
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