非日常、『私も抱いて欲しいと要求します。無論性的な意味で』

6/21
前へ
/21ページ
次へ
すると、彼女等3人の体に突如異変が起き始めます。最初は残像のような姿が当人達と重なるように二重に見えだして、その重なった方の姿に合わさるように変貌していきます。 紅里とリリィはまるで成長するかのように、腕も脚も、胸も身長も全て大人サイズへと化けていきます。成長するまでの過程を僅か10秒単位にまで縮めた映像を見せられているかのように、目の前で彼女等の姿は大きくなりました。 それとは違い、希の変貌ぶりは異端を喫していました。まず重なった姿は明らか下が魚のそれと酷似しており、僅か10秒の間で脚は無くなって代わりに尾ひれと鱗のついた下半身になりました。言わずもがな、これはかの有名な人魚の姿そのものです。 急成長した両名に人魚になった希等を見て、ここに居る誰も驚いたりはしてません。そういう薬を投薬したのですから、当然の結果に度肝を抜かれる人は普通おりません。 変貌を遂げたお三方は変わった体を動かしながら、まるで準備運動でもするかのように慣らしています。ロリ体型が大人になり下半身が魚のそれになれば、誰しも準備運動だって致しましょう。 そうして慣らしが終わったのか、高校生くらいまで成長した紅里が中羽に向かい、 「で、合図があったから作戦通りの場所で待てば良いんだったよな?」 「あぁ頼むぞ。敵は数段劣るとはいえ幻想種だから油断するなよ」 「ハっ、今夜の私にそれを言うのかい。油断したところで大事に至るわけねーだろ」 なんという事でしょう。あのオドオドしてた口調の紅里とは正反対に、ぶっきらぼうで高圧的な態度を取っています。薬の副作用と言いますか、これがいつも通りなので中羽はもう慣れました。 目指す先を見据え、その位置へ移動しようとしていた紅里でしたが、ふと、 「あっと、そういやこれが終わった報酬になんだ、その……なんつーか。――――やっぱなんでもない!」 中羽に向かって何か言いたくてモジモジしてましたが、急に声を荒げてビルから飛び降りました。これには中羽も首を傾げます。 「やれやれ、素直に『ご褒美に頭を撫でて欲しい』と何故言えぬのかのう、あの狼っ娘は。 あぁ中羽、私は報酬に抱きしめて貰う事を要求するぞ。あやつの前で見せびらかせてやりたいからのう」 なんて、面白そうな顔をしながら告げたリリィもビルから飛び降りました。続いて希もダイブしました。 20階建ての、ビルの屋上から。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加