いち!

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「邪魔」 だがそんな気持ちを伝える気は全く以てない。当たり前だ。俺も男でこいつも男。言いたい気持ちがないわけではないが、いまの関係を壊したくはないし、なにより俺の性格じゃ到底無理だろう、少なくとも今の状況では。 「足蹴かよ。優しくないねぇ、川勝は。そんなんだから女が寄り付かないんだよ、もったいない」 そのノンケらしい言葉には最早、嘘笑いをする気にもならない。苦笑いでさえ出ないのだ。結局俺はいつもの呆れ顔でその場を流す。 「出てけ、一人で食う」 「嘘うそ!川勝の美味しい料理が食べたいなぁ?」 二年次に上がる前の春休みで諏訪が俺の部屋で晩飯を食べるのは日課になった。ベッドから立ち上がり、冷蔵庫を開ける。その中身をざっと見渡して今日のメニューを考えた。 「昨日と一緒な」 「あは!やっぱりっすか」 俺が置いた漫画を手に広げ、諏訪はどこか嬉しそうに笑った。
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