光の中

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わたし達の文芸部はわたしと孝平くんのふたりだけで、新歓で人が入らないと即廃部という。 これでも譲歩したのだという。 昨年は野球部が甲子園に出たから、そちらに予算を回す…なんて、野球なんてどうでもいいわたしたちを無視する発言をした学校側。 もちろん、わたしたち部員数が少ない文科系の部活動の一同は反抗をして見せた。 でも、それは断固として覆らない。 本来なら、わたしたちの文芸部や、漫画研究部のような、実績に乏しい部活動は即座に廃部になるはずだったのだけれど、それを好きだと言う生徒がいるからと、教師陣がそう推し進めてくれたのだとか。 別に見捨てられたわけではないけど、部員の増えない場合は部活動としては認められないと言う判を押された。 だから、わたしは新入生を入部させるために孝平くんと相談することにした。 実際は人なんていれたくなかった。 この部室に流れる夕方の時間は、わたしと彼だけで共有していたかったから。 彼と二人だけで、幸せに浸りたかったから。 でも、それもできなくなるのでは意味もなくて、なんとか部活を存続させるために、わたしは何とかならないかと孝平くんに持ちかけた。 「あてはあるにはあるんで、聞いておきます」 こともなさげにあっさりとそう返す孝平くんに、わたしは驚いたものだ。 多くは語らなかったけれど、彼の幼馴染みの子が推薦で入学を決めたから、青田刈り的に入部を打診すると。 「ありがとう。君は頼りになるね」 お礼を言うと、彼は顔を赤くする。 「いえ、いつもお世話になってますから」 「それでも、わたしだけだったら何もできなかったと思うよ?だってほら…わたし、強引なところってあるから」 「自覚。あったんですね」 わたしをじっと見つめる孝平くんの視線は呆れの色が見えていた。 間違いなく、わたしが孝平くんにしたことを言っているのはわかる。 でも、いくらわたしが強引でも、あんな風に入部させるのはきっと孝平くん以外には思い付きもしなかったはずだ。 わたしは基本的に誰かに何かを強制するのは嫌いだから。 それに、孝平くんが入部していなければ、わたしは廃部を受け入れていただろうし。 そんな話はさておくとして、だ。 彼の妹分が入部してくれるのはいいけれど、どうせならあと一人は来てほしいと思うのが欲かきなわたしの性だ。
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