43人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
しばらくして、突然ヒロが聞いたきた。
「夏休み結局どうすんだよ。センセーに会えないーっ困ってたじゃん」
「あぁ、それね。だからデートしようと思って」
「は?なにお前許可もらったのかよ」
「うん」
「なんだよ。なんだかんだいって春は近いのか」
「いやー、これには海より深い事情があるのですよ」
*
保健室の静かな空間に、突然パキィーンと音がした。
といっても、その音が出た原因はあたしなんだけど。
「あ、愛坂さん大丈夫ですか!」
「はい。あたしは平気なんですけど....」
内心すっごく慌てていた。
なぜなら先生愛用のカップを落として割ってしまったから。
先生が大切に使ってたの知ってたし。
前誰かからのプレゼントだと教えてもらったこともある。
「すみません、カップ割ってしまいました....」
優しい先生はあたしを全く怒らなかった。むしろ、
「愛坂さんは怪我をしてませんか?」
と、心配してくれた。
「先生が大切にしてたの知ってたのに....ごめんなさい!」
「平気ですよ。もうずいぶん前から使ってましたし。なによりそろそろいい加減変えないとなって思ってましたし」
「先生....」
ん?ちょっと待てよ....
これは...
いける!!
「弁償する!!」
「え、そんな大丈夫ですよ。怒ってもいませんし....逆に新しいのを買うきっかけをつくって頂いて感謝してます」
ニコッと笑う先生の笑顔に、ぐふっと、やられそうになったがなんとか持ちこたえて先生を説得しようとする。
最初のコメントを投稿しよう!