2

9/12

43人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
そんな感じで話していると、教室に教師が入ってきてぞろぞろとみんな自分の席に移動を始める。 「お前らさっさと席につけ。HR始めるぞ。俺に手間をかかせるな」 教師としてあるまじき言葉、そして態度。 けどイケメン。 されどイケメン。 どんなに酷い態度をとっても女子からは確実に好かれるこの教師こそが、このクラスの担任である。 礼をしてHRが始まった今現在でも女子達が眼福眼福…と呟いているのが聞こえてくる。 「あーあとあれだ。お前らこの間の古典の小テストよく頑張ったな」 頑張ったな、という言葉とともに繰り出された悩殺スマイルにいったい何人の女生徒のハートを撃ち抜いたのだろう。 この教師、絶対確信犯だ。 自分の顔の良さを自覚して、うまく活用している。 「井上」 「…はい」 そしてこの担任は、古典の教師であり。 「お前は、またもや補習だ」 ヒメの天敵である。 * その日のお昼、ヒメは荒れていた。 「あのクソ藤咲…いつか絶対ボロクソに罵ってやる」 「ヒメ、さっきからしてる顔ヒメなのに姫じゃないよ」 ちなみにヒメの教師嫌いに拍車をかけたのは藤咲先生である。 ヒメは総合的な成績だととても良いのに古典だけは何故か異様なまでにできない。 あたしもそこまで得意なわけではないが、ヒメほどじゃないわけで。 「あぁ…あの胡散臭い笑顔も、気持ち悪い声も、やけにピシッとしたスーツも、煙草の匂いもコーヒーの匂いも全部イヤ」 つまり藤咲先生に対し「存在するな」ということですね。 しばらくヒメの藤咲先生への恨みの言葉を聞いていて、時計をみたあたしは動き出す。 「ヒメ。あたしちょっと行ってくるね」 「ん」 ヒメはこういう時のあたしに決してどこに?といわない。 まぁ、毎日行ってるから当然といえば当然なんだけどね。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加