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先生がヒロの怪我を治療する。
「鬼ごっこをするにしてもこれからは怪我に気をつけてくださいね?」
「うっす。了解っす」
「ヒロ、ちゃんと喋りなさい。あとこれ書いて」
ヒロに、来た時間、怪我をした理由などを書かせて、あたしがその怪我への処置を書く。
ちなみにヒロにあたしが敬語を使っていて、うわー、キモっていってくるから陰で脛を蹴った。
叫んでたけど、知らない。
先生がどうしたんですかってヒロに聞いてたけど何も知らない。
「あー、怪我が痛いなー。誰か鞄持ってきてくれないかなー。痛いなー動けないなー。ちなみに脛も痛いなー」
「…はいはい。持ってきますよ。持ってきたらすぐに帰ってくださいね」
「もっちろーん」
先生と二人の時間を少しでも長く過ごすため、ヒロのお願いをすぐさまきく。
いつもなら絶対きかないけど。
はぁ、と一息ついてからあたしは教室へ歩みを進めた。
しばらくしてあたしが保健室に戻ってきた時、なぜかヒロはすごく不機嫌だった。
「ヒロ、鞄」
「ありがと。じゃあ俺帰る。また後でな」
ヒロに鞄を渡すと、本当に簡単な挨拶だけあたしにしてさっさと帰ってしまった。
いや、まぁそういう約束だったけどさ。
想像以上に呆気なかったことにあたしは内心驚く。
そしてあたしは、先生とお茶をしてた時に座っていたところに再び腰を下ろし、話しだした。
「ヒロ…どうしたんでしょうか?」
先生はあたしの疑問に、首を少し傾げる。
「うーん…僕がもしかしたら怒らせてしまったかもしれません」
「先生が?なんでですか?」
先生はただ曖昧に笑っただけで、あたしがだした質問に答えてはくれなかった。
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