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「ほんともうあいつなんなの」
不機嫌さマックスなのはもちろんヒメ。
あたしの次に成績表を受け取ったヒメは古典がやっぱりひどかったらしい。
「夏休み補習とかありえない。あいつと二人とかありえない」
「藤咲先生に褒められたい!ってみんな頑張ってたからね…」
「あいつのどこがいいのかほんとにわからない」
ヒメはその言葉を鼻で笑いながらいっていた。
「ヒメさん、かおかお。死んでる」
「あぁ…補習の期間だけ外国に逃亡したい」
*
「失礼します」
「いらっしゃい。愛坂さん」
保健室に入ってかけられた言葉はもうお決まりの台詞だけど、それでもあたしの名前を呼ぶその声にドキッとする。
しばらく立ったまま心を落ち着かせて、あたしは指定席に座り、先生と向き合う。
そしてあたしは先生の横顔を、ジーっと見つめた。
そんなあたしの行動に先生は気づいて、ニコッと笑った。
ほんとにもう、綺麗な笑顔で。
「どうしたんですか?」
「……なんか…夏休みに入って先生に全然会えなくなるんだって思ったら、顔見とかないともったいないなって…」
………………え。
あたし今何を口走ったんだ。
え、え、え。
こ、これまずくないか。
こんなの先生のこと好きっていってるようなもんじゃ……
や、やばい先生の顔怖くて見れない。
キモいって思われた?
やだやだ。どうしよう。…怖い。
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