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それは、ヒロからの滅多にない褒め言葉だった。
「…うん、ありがと。がんばるよ」
「おう、がんばれ」
ヒロはあたしの頭を軽く、ぽん、と叩いた。
しばらくして待ち合わせの場所に着くと、先生の姿はまだなくて、少し怖くなる。
日にち間違えたかな。
時間間違えたかな。
場所間違えたかな。
平気だよね。先生、来てくれるよね。
どきときどきどき、不安が募る。
あたしが不安に押し潰されそうになって、視線が落ちてきたとき、周りがざわつくのを感じた。
そしてわかった。
あぁ、よかった、ちゃんと、きてくれた。
そして地面に向けていた視線を、向けるんだ。
「すみません、少し遅れてしまいました」
好きで、大好きでたまらない、先生のもとへ。
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