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「俺も教師である前にひとりの人間だ。お前が愛坂を大切に思うように、俺も陸を大事な親友だと思ってんだよ」
藤咲の言葉は残酷なほど正論で、それが俺をさらに苛立たせた。
「思ったんだけど、お前そんな無理してて平気なのかよ。自分の感情押し殺してさ」
目の前にいる教師はいつの間にかに煙草を口に加えて、ライターを手にしていた。
生徒の前で煙草吸うんじゃねぇよ。
そう思っても、今は言葉にしない。
「俺の感情ってなんのことだよ」
俺の言葉に藤咲がまた馬鹿にしたように鼻で笑った。
「愛坂の幸せだけ考えてるけど。山中、お前の幸せはどうなんだよ。大切なんだろ?あいつのこと」
あくまで、“あの言葉”を出さずに違う言葉に置き換えられていて、藤崎の心遣いを感じてしまった。
きっと気づかれているのだろう。
俺がその言葉を出されたら、意地でも認めないって。
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