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そうだよ。
大切だよ。
あいつは今まで人の何倍も苦しんできたんだ。
だから、幸せにしたいんだよ。
大切だからこそ。
でもあいつを幸せにするのは俺じゃないから。
目を閉じて浮かんでくるのは、あの胡散臭い笑い方をする、白衣を着た教師に対しての、あいつの笑顔。
そいつと結ばれることを、あいつが望むなら。
あいつがそれで幸せになるというのなら。
いつの間にかに下げていた目線を上げて、目の前で不敵に笑っているやつを睨む。
「あいつの幸せが、俺の幸せだ」
これは子供の頃からずっと変わらないことだった。
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