16話**暑い夏

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「……」 無言の向坂に、意地悪したくなった。 抱き締めたまま、髪を撫でて、首筋に優しくキスをする。 「やっ…」 「好きだ…」 そのまま耳の後ろに唇を移動させる。 観念したのか、向坂は顔を赤らめながら小さな声で呟いた。 「…私も…好き」 ドクン 嬉しくて、幸せでもう一度催促したくて抱き締める。 「聞こえなかった、もう一回」 顔を除き混めば、真っ赤に染まって潤んだ瞳に理性が飛びそうになった。 「……もう」 ドクン 「ははは… 嘘だよ、聞こえた」 照れ笑いしながら、自分に言い聞かせるように話した。 これ以上近づいたらダメだと自分の中で危険信号が鳴る。俺は、ばっと体を離した。
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