16話**暑い夏

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言われてみれば、二人が寄り添っていたのは見えたものの、キスしていたかどうかまで見えず、予想でしかなかったことを思い出した。 「……」 「ちょっと…」 無言になった俺を横目に、向坂は顔を赤らめながら、プイッとそっぽを向いた。 「…したことないから」 ドクン 嬉しくて、一気にテンションが高くなる。 「…そっか」 口元が緩む。 嬉しくて、向坂に近づきたくなった。 (…手をつなぎたいな) ドクン ドクン そっと手を伸ばすと、向坂の手に触れようとした。 その時… 「篠崎ー!」 びくっ 驚いて、勇気を出して近づけた手を引っ込めた。 見れば、水川の姿。 「よかったねー、篠崎くん♪」 にやにやとしながら、俺たちを微笑ましそうに見ていた。
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