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「篠崎…よかったな」
また違う声。
嫌な予感がして、振り返れば渡瀬翔也の姿があった。
「……」
複雑な気持ちになる。
以前の恋敵に祝福されるなんて、微妙すぎる。
「これで俺も安心だ」
「え?」
「堂々と、チームメートとして仲良くなれるな」
前に感じていた敵意が感じられず、むしろ友好的な感じに驚きを隠せられずにいた。
にこっと笑う笑顔が爽やかで、反抗する気持ちも失せる。
近くにいたファンらしき女の子たちの声がきゃーっと上がった気がした。
「わぁ、すごい」
歓声に対して、呑気な向坂。
「………」
渡瀬に引かれない向坂に安心しつつも、篠崎剛は、大きくため息を付き、行く末を心配しているのであった。
夏は始まったばかり……
彼らの暑い夏が始まろうとしている。
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