16話**暑い夏

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「篠崎…よかったな」 また違う声。 嫌な予感がして、振り返れば渡瀬翔也の姿があった。 「……」 複雑な気持ちになる。 以前の恋敵に祝福されるなんて、微妙すぎる。 「これで俺も安心だ」 「え?」 「堂々と、チームメートとして仲良くなれるな」 前に感じていた敵意が感じられず、むしろ友好的な感じに驚きを隠せられずにいた。 にこっと笑う笑顔が爽やかで、反抗する気持ちも失せる。 近くにいたファンらしき女の子たちの声がきゃーっと上がった気がした。 「わぁ、すごい」 歓声に対して、呑気な向坂。 「………」 渡瀬に引かれない向坂に安心しつつも、篠崎剛は、大きくため息を付き、行く末を心配しているのであった。 夏は始まったばかり…… 彼らの暑い夏が始まろうとしている。 ***********end
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