3話**向坂まどか

6/8
201人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
「なんでこんな遅いの?」 剛は素朴な疑問をぶつける。 「…足が痛くて帰り道に時間かかっているだけです」 「…えっ」 そう言えば、隣に並んで帰っているものの、歩幅が小さいなって思ってた。 でも、女の子はこのくらいだっけ…なんて、思っていたのだ。 ふいに、沢村いちかと水族館でデートした記憶が甦る。 (足…遅かったっけ 手を繋いだから、あんまりわからなかったな) ハッとして、思い出しちゃいけなかったと後悔した。 「…大丈夫?荷物持つよ」 そう言って、向坂の鞄をつかんで自分の方に引っ張った。 「わっ…大丈夫です!」 「でも」 「平気です…!わぁ!」 バランスを崩して、向坂な転びそうになった。 「…!」 咄嗟に剛は自分の方に引き寄せた。そのまはま倒れる。 ドサッ 「…痛っ」 剛は顔を歪ませてしりもちをついた。おい被さるように、向坂が乗っていた。 「ごっごめんなさい…」 慌てて体を起こしている向坂と目が合う。 黒髪がさらさらと揺れていて、心配そうに除き混んでいた。 ドキン 思わず黒髪を撫でてしまった。 「…無事でよかった 鞄くらい持たせろよ」 恥ずかしさから、鞄をさっと持ち、向坂のおでこにデコピンすると立ち上がった。 「いったぁー」 絆創膏の上からデコピンしたので、痛がる向坂をしり目に手を出した。 「ほら…」 「ありがと…」
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!