3話**向坂まどか

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二人は向坂のマンションの前でたちどまった。 「結局ごめんなさい…」 「いーよ、はいこれ」 持っていた鞄を差し出すと、申し訳なさそうに受け取った。 外灯が二人を照らす。 「…ねぇ、毎日こんなに遅いの?」 アスファルトに映った影を気にしながら、剛は疑問を口に出していた。 「うーん、日によるかなぁ」 向坂の呑気な答えが帰ってきた。 「足痛そうだし、もっと早く帰りなよ 暗いのも危ないよ?」 「うん… そーなんだけどねー」 なんだかまるで危機感のない向坂にイライラとした。 「…6時」 「え?」 「6時までには帰りなよ? それがもし過ぎたら、野球部終わった俺と帰ろう?」 「だっ、大丈夫だよ」 向坂はわかってない。 自分がどれだけ危機感がないのか。こんなに道は暗いのに。 「なんだか、すごい心配なんだ… 約束!」 「…はい」 こうして、向坂まどかと奇妙な約束が成立した。
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