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向坂の困った顔が可愛くて、つい笑ってしまう。
溶け出したアイスはポタポタと垂れた。
「…なんか、ごめんね」
「いーよ」
アイスを口に含めば冷たくて、甘かった。
「おいしーよ、ありがとな」
にこっと微笑むと、向坂も笑顔になってはにかんだ。
「じゃーね」
そう言って向坂は家に向かって走っていった。
しばらく向坂の後ろ姿を見つめたあと、剛は帰り道を歩きだした。
ベトベトのアイスを食べながら、向坂まどかを無意識に思い出す。
(アイス、ありがと…)
お礼をメールしようと、おもむろに携帯を出した。
そして、ハッとする。
(アドレス、知らないんだった…)
もどかしい気持ちを抱きながらも、彼女のいろいろな表情を思い出し、明日も会いたい…と思っていた。
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