訳の抱える訳

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決めたとは言ったが、方法が無かった。今の状態で話を聞いて貰えるとは思えない。 とりあえず部屋に戻ろうとすると部屋から杏の悲鳴が聞こえる。 急いで部屋に戻ると、天の周りにはソファや机、フォークなどが浮いて杏の方向に向いていた。 「バカ!天!!やめろ」 急いで杏を庇うようにして間に入り杏を隠す。 奈良さんや九王さんも気付いたのか部屋に入ってきた。 「天!!!やめ…」 二度目の発言を言い終わる前にフォークが飛んで来て足に刺さる。 次に、浮いていた時計が後頭部に当たり大破する。 「がっ…」 「ヒデ君!!!」 杏が叫ぶと同時に九王さんが声を張り上げた。 「やめねぇか!このドアほうが!!!天、貴様は恩を仇で返す気か!!いい加減にしねぇとその横っ面手加減せずにぶっ飛ばすぞ!!!」 初めて見る九王さんの本気の激怒だ。一発の怒声で天が大人しくなる。意識が薄れていく中でもハッキリと聞こえたその声はよほどでかかったのだろう部屋の空気が震えているのが分かった。
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