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「おはようございまーす」 「あ、遠藤さんいい時にきたわね。 ……この資料今日中にまとめて頂戴」 雑誌の締切が迫る頃の会社は戦場だ。 新人さんもベテランさんも関係なく動きまわっている。 そんな中遅刻できるアタシはどこかおかしいのだろう。 自分の席に座って、先ほど渡された資料の山に目を通す。 …あ、この旅館いいなぁ。 と思っていると、隣から声を掛けられた。 「陽菜ちゃんまた遅刻ですか? そのマイペースさ、本当尊敬です」 「あぁうん。 アタシにもいろいろあるから…」 「川村さんなんか朝からめっちゃ怒ってましたよ。 “遠藤まだかー”って」 「…あはは、そうなんだ。 あとで謝っとかないと」 「それがいいですよー」 アタシの隣の席に座るこの子は、河西美央(カサイミオ)。 天使のようなたまご肌をもつキュートな女の子だ……って本人が言ってたと思う。 確かに可愛い。間違いない。 そして誰にでも敬語を使う、ちょっと変わったアタシの同僚兼親友。
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