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ランチを終えた後、アタシはただ黙々と資料をまとめ、何とか時間までに指定場所である、東都タワーホテルに来ることが出来た。 幸いだったのは、アタシの職場から近いという事。 駅舎のすぐ横に聳え立つ、周りとは少し不釣り合いな程大きな建物。 開業当時、先輩と取材に訪れて以来だから、中に入るのは何年ぶりか。 決して都会とは言えないこの街に何故建てたのか時々不思議に思う。 交通の便は悪くないし、政治家や芸能人がお忍びで使っているとのうわさもあるけど、真偽のほどは分からない。 一歩中に足を踏み入れれば、豪華なエントランスが広がっていて。 少しよれ気味だけど、スーツで良かったなんて思う。 「いらっしゃいませ。 東都タワーホテルへようこそ」 「あの、アタシ35階に用があるんですけど…」 「畏まりました。 あなた様のお名前を頂戴しても宜しいですか?」 「遠藤陽菜です」 「ありがとうございます。 それでは、こちらの鍵をお使い下さいませ」 「あ、ありがとうございます」 受付の人から鍵を受け取り、エレベーターに乗り込む。 どうやら35階は最上階らしく、鍵を差し込まないとエレベーターが動かない。 こうゆうところがお忍びで使われるとうわさされる由縁なのかも。
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