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「陽菜(ヒナ)ちゃん、今日も可愛いね~」 目を開けると見えるのは、所々シミのついた白い天井と、アタシの顔を上から覗き込むこの気持ち悪いオジサン。 「オジサンは陽菜ちゃんを見ているだけで、本当に胸がいっぱいだよ~」 「そう、それは良かった」 「その笑顔も堪らないね~」 このオジサンの名前は……たしか五藤。 アタシは五藤にとびっきりの愛想笑いを向ける。 コイツの語尾を上げる話し方も、気持ち悪い顔も大嫌いだけど、一応お客さんだからね。 「じゃあ、そろそろ時間だから」 「あぁ、そうだね~。 今日も本当に楽しかったよ~」 アタシが差し出した手に、五藤は何枚かお札を乗せた。 自分の名誉の為に言っておくけど、アタシは五藤と“寝た”訳じゃない。 寝たって言葉的には同じだけど…日本語は難しい。
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