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翔の瞳に縛られて、暫くなにも出来ずにいると突然、翔に思いっきり目を逸らされた。
そして、ぎこちなく笑うと
「なんだよお前。アホみたいな顔しやがってさー」
なんて事言うから、あたしはムキになって反論した。
「なっ、アホはないでしょアホは!!」
「事実だろー?実際こんな簡単な問題解けねーんだから」
「そ!!れは……たまたまと言うか……なんと言うか……」
ニヤニヤしてる翔に何も言えなくなり、元来負けず嫌いなあたしは、目に涙まで浮かんだ。
そんなあたしを見て、翔は慌てだした。
あたふたとしてるその姿は、まるでお笑い芸人そのもの。
「な、なに泣いてんだよ!!」
「だって……うぅ……悔じいぃ……」
そんなあたしを見て、翔は呆れた顔をした。
「ったく……しゃーねぇな、俺が教えてやるよ。な?」
と言って優しく笑うと、大きな手をあたしの頭に乗せた。
あたしは泣き止んで、ニヤリと笑うと
「よっしゃ!!じゃあよろしくっ♪」
と言うと、怒ると思ったのに、何故か撫でていた手を離し、自分の顔を手で覆った。
……なに?ため息まで聞こえてくるけど。
顔を覗きこもうと翔に近付いたら、突然視界が真っ暗になってしまった。
どうやら、翔が開いている方の手であたしの目を塞いでいるらしい。
「見んなバカ」
なんて言われてしまった。
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