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あれ、ここ…バスの中?
見覚えがあるぞ。
「三年前の…修学旅行……」
「そだよ!」
「っ!?」
フーッと耳に息を吹きかけてきたのは姫子。
いないはずのメンバーの中に自然と紛れ込んでいた。
「なんであんたがいるの…」
正樹は怪訝そうに眉を下げてシワを寄せると、
「なによ。私が過去に戻してあげたのに!不満?」
「俺はあんたのせいで死んだんだけど?」
「いいじゃん!」
よくねーよ…。
佐久夜さんがいたら絶対に付き…いや、憑き纏われるし告白だって出来ないかもしれない。
「もう無理だよーん!私はこのクラスの一員として溶け込んでいるからね!」
「わかったわかった!とりあえずありがとうな」
正樹は柔らかく笑い、笑窪を見せた。
なんだかんだで過去に戻ることが出来たのは姫子のお陰なのだ。
現実としてはまだちょっと信じられないでいるが、先程からそんなことが連続して起こっているゆえにそこまで驚いた顔はしなかった。
「ところでさ、佐久夜さんは妖狐なのに名前があるんだ?」
「当たり前でしょ。生前の名前!私、元は人間だったんだから」
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