ルート1号 大逃走

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    ナビ上で自車のアイコンとは別に、もうひとつ光るアイコンが現れた。 なるほど、これで自分と相手の状態が把握できるわけだ。ご丁寧に「1位と2位の差は5キロ」とか書いてある。 これって国が主導して立案した法案だよな? 国が悪いのかロボットのプログラムをした奴が悪いのか、レースゲームでもしている気分にさせられる。 生憎、俺としてはこんな場所で躓いている暇はない。このくだらない島国を足がかりとして、世界トップのFーゼロレーサーとして世界に羽ばたくんだ。 世界の大舞台でこそ、俺は光の速さになれるんだ。 目の前に車が現れようが関係ない、俺はブレーキを踏む事なく避けながら、国道を突き進んでいく。 ……もうそろそろで、10分経つ頃だな。 おそらく、ここからが「判断力」のテストとなるはずだ。 このまま突き進んで行けば、どこかの段階で確実に足止めを喰らい、10分程度の距離などは一瞬にして詰められるだろう。 しかも相手はジェット機、もしかしたら空中から捕まえようと襲ってくるかも知れない。 この裁判の解は「目的地に辿り着けば無罪」という所にある。 国道からスタートをし、目的地が大阪という時点で勘違いしやすいように誘導してあるが、恐らく迂回する事こそが正しい道なんだ。     脇道か再び高速道路か、つまり急がば回れを判断させるのが、この裁判の目的だろう。 ふっ、何が新法案だ。こんな簡単な裁判なら、犯罪者なんていくらでも無罪になるし、弁護士を雇う金のない一般市民からすれば、望むところだ。 ……と、迂回路に入ろうとするまでは思っていた。    
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