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まるで人を通すのを拒むかのように木々が生い茂るこの山奥で暮らすとなると憂鬱になるばがりだった
ケータイを先程からいじっているが圏外で使い物にならない
こうなるとケータイはただのガラクタにしか見えなくなる
俺はケータイの電源を落とし膝に置いていたリュックの中にしまった
「この辺の近くにでっけぇ桜の木があって佳恵とよく遊んだもんだ」
「…ふーん」
佳恵【ヨシエ】は母さんの名前で母さんはいつも物静かでどんなときでもニコニコ笑っているような人だった
俺はまた窓の外を眺め始めると一瞬だったが男が立っているのを見た
顔は狐のお面をしていて見えなかったが上がYシャツで下が黒いズボンをはいていた
村の人だろうか…
でも、なんであんなところで1人で立っているのだろうか…
疑問を抱いたが考えても無駄と判断した
永遠と続きそうな景色に飽き目を閉じる
相変わらず気をつかって五月蝿く話しかけてくる叔父さんには悪いが1時間も同じ風景で、会話も似た会話しかしてないし…いい加減に飽きた
もしかしたら同じところをぐるぐる回っているだけなんじゃないかと思い始めたぐらいだ
叔父さんには解らないようにため息をする
いい加減に早く着いてくれ
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