天瀬先生の気持ち

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*** ーー天瀬家in朱菜の部屋ーー 「はぁ~……」 何をするでもなく朱菜はベットに寝転がりぼんやりと天井を眺めていた。 ブブブ…… 朱菜の携帯電話のバイブレーションが鳴り出す。 「珠緒……」 相手は珠緒。 朱菜はゆっくり電話を受けた。 『朱菜、具合い悪いんだって? 大丈夫?』 心配そうな珠緒の声が電話口から聞こえてきた。 「うん。 平気よ。 ありがとう」 わざと明るく朱菜は答える。 『ううん。 声聞けてホッとしたわ』 朱菜の声を聞いて珠緒は安堵する。 「ねぇ、珠緒」 『ん?』 「漣君って女装癖ある?」 さりげなく朱菜は聞いてみる。 『え? ないない。 そんな趣味ないよ』 ケラケラ笑いながら珠緒は答えた。 「そうだよね」 朱菜は珠緒の答えでますます菜唯人に不信感が募った。 『何でそんな事聞くの?』 不思議そうに珠緒は尋ねた。 「……何でだろ? 疲れてるのかな?」 そう言って朱菜は笑って誤魔化した。 『あ~ごめんね。 長電話よくないね。 ゆっくり休みなよ』 朱菜の気持ちを察したのか珠緒は労いの言葉をかける。 「うん。 ありがとう、珠緒」 珠緒の優しさが朱菜は何だか嬉しかった。 『じゃ、またね』 「バイバイ」 ピッ 珠緒と電話を終え、朱菜は窓から何となく隣の菜唯人の家を見た。 「……嘘つき菜唯人」 そう言って朱菜は勢いよくカーテンをしめ、ベットに寝転がった。
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