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「あの日、ワザワザ俺に見せに来てたんだよ」
漣を横目に菜唯人はポリポリと頭をかいた。
「だって意外にいい感じで見せたかったんだもん」
顎の下に手を添え、漣は菜唯人にウィンクした。
「……おバカ」
はぁっとため息をつき菜唯人は肩を落とした。
「それならそれって言ってよ~」
朱菜はぷぅっと頬を膨らませた。
「言う前にキレられたしな」
ボソリと菜唯人は呟く。
「うっ……」
図星をさされ朱菜は言葉を濁した。
「あたしキレイ」
そして何故かこのタイミングで漣はボケる。
「いや、黙れ」
ギロリと菜唯人は漣を睨みつけた。
さすがの漣も静かになる。
「あたしの悩んだ時間返してよ」
ぶぅっと朱菜は膨れっ面を見せる。
「まぁまぁ。
そういうなって。
漣にも事情があるんだよ」
なんだかんだ言いつつ、菜唯人はちゃんと漣をフォローする。
「でも何でそんなバイトしてんの?
まさか、目覚めちゃったの?」
ジロジロと漣を見ながら朱菜は尋ねた。
「違う!
断じて違う!」
首をブンブン振って漣は否定する。
そこは譲れないらしい。
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