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ーーアーチェリー部練習場ーー
アーチェリー部員達が練習にせいを出している。
その中に朱菜の姿もある。
「ふぅ……」
ウォーミングアップを終えた朱菜はタオルで汗を拭きながら水分補給をしている。
「おはよう、天瀬さん」
朱菜の背後から柏田が現れた。
「あ、柏田先輩。
おはようございます」
朱菜も柏田に挨拶をする。
「もう体は平気?」
柏田は朱菜の体を気遣い心配そうに見る。
「はい。
昨日は早退してご迷惑おかけしました」
満面の笑みで朱菜は答える。
そして昨日の妙な一件が頭を過ぎる。
「いやいや。
元気になったなら問題なし」
朱菜の笑顔を見て柏田は安心したのかニッコリ笑う。
「やっぱ柏田先輩は優しいなぁ~」
柏田の優しい笑顔に朱菜は安心する。
「おや、天瀬さん。
珍しいギャラリーがいるよ」
アーチェリー部の練習場を取り巻くギャラリーを指差し、柏田は悪戯っぽく言った。
「ん?
あ、菜唯人!?」
ギャラリー達にさりげなく菜唯人が紛れ込んでいるのを朱菜は発見した。
「バスケ部の有名人までもが来るなんて天瀬さんも隅に置けないな~」
ニヤニヤしながら柏田は朱菜をからかう。
「菜唯人は……結城はあたしの幼なじみなんです」
ニヤニヤする柏田に朱菜は言う。
「へぇ、そうなんだ。
何か羨ましいなぁ」
腕組みをし柏田は何故かうんうんと頷いている。
「そうですか?
何時も何時も憎まれ口しか叩きませんよ?」
苦笑いしながら朱菜は言う。
「ハハハッ!」
朱菜の言葉に柏田は大笑いする。
「笑い事じゃないです~」
笑いまくる柏田を朱菜は膨れっ面で見た。
そして二人のやり取りを菜唯人は凝視していた。
また一波乱ありそうな雰囲気である。
***
ーー昼休みーー
朱菜と菜唯人は屋上で昼食を摂っている。
「うん。
やっぱり朱菜弁は旨いな」
口の周りに沢山米粒をつけて菜唯人はご満悦のようである。
「ねぇ、菜唯人。
今日朝練見に来てたでしょ?」
菜唯人の口周りの米粒をとりながら朱菜は尋ねた。
「お前の雄々しい姿を見とこうと思ってな」
朱菜の手を握り真面目な顔で菜唯人は言う。
「アンタ、喧嘩売ってるの?
てか、バスケ部の朝練はどうしたの?」
朱菜はギロリと菜唯人を睨みつけながら尋ねた。
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