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「今日、コート修理するとかで朝早くから業者が来てて使えなかったからな」
弁当を平らげ、菜唯人は丁寧に手を合わせた。
「……で、わざわざ早起きして見に来てたわけ?」
朱菜は腕組みをして菜唯人を見る。
「いや。
みんながワーワー騒ぐ朱菜の姿見たことなかったから見てみたかったんだよ」
少し顔赤らめ菜唯人は答える。
「なんだ。
ただのミーハーか」
菜唯人の答えに朱菜は肩を落とす。
「何か期待してたのか?」
菜唯人はジロジロと朱菜をなめ回すように見る。
「アンタには期待しないわよ」
あっかんべーをしながら朱菜は言う。
「……傷つくぞ、それ」
今度は菜唯人が肩を落とした。
「ねぇ、菜唯人。
漣くんのサプライズいつ教えてくれるの?」
肩を落とす菜唯人を横目に朱菜はさらりと話を変えた。
「(しれっと話変えやがった……)
明日決行だってさ」
朱菜の『話変え』を気にしつつも、菜唯人は何事もなかったかのように答えた。
「マジ?!」
朱菜は菜唯人の答えに驚く。
「……が、しかし。
のぞき見はタブーだ。
結果は明後日」
真面目な顔で菜唯人は言う。
「ぶぅ。
じれったいな~。
明日って……珠緒の誕生日じゃん。
サプライズってまさか!」
珠緒の誕生日に気付いた朱菜は『サプライズ』の意味を瞬時に理解した。
こういうとこは頭の回転がいいのである。
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