新たな誤解……。

3/11
前へ
/53ページ
次へ
「今日、コート修理するとかで朝早くから業者が来てて使えなかったからな」 弁当を平らげ、菜唯人は丁寧に手を合わせた。 「……で、わざわざ早起きして見に来てたわけ?」 朱菜は腕組みをして菜唯人を見る。 「いや。 みんながワーワー騒ぐ朱菜の姿見たことなかったから見てみたかったんだよ」 少し顔赤らめ菜唯人は答える。 「なんだ。 ただのミーハーか」 菜唯人の答えに朱菜は肩を落とす。 「何か期待してたのか?」 菜唯人はジロジロと朱菜をなめ回すように見る。 「アンタには期待しないわよ」 あっかんべーをしながら朱菜は言う。 「……傷つくぞ、それ」 今度は菜唯人が肩を落とした。 「ねぇ、菜唯人。 漣くんのサプライズいつ教えてくれるの?」 肩を落とす菜唯人を横目に朱菜はさらりと話を変えた。 「(しれっと話変えやがった……) 明日決行だってさ」 朱菜の『話変え』を気にしつつも、菜唯人は何事もなかったかのように答えた。 「マジ?!」 朱菜は菜唯人の答えに驚く。 「……が、しかし。 のぞき見はタブーだ。 結果は明後日」 真面目な顔で菜唯人は言う。 「ぶぅ。 じれったいな~。 明日って……珠緒の誕生日じゃん。 サプライズってまさか!」 珠緒の誕生日に気付いた朱菜は『サプライズ』の意味を瞬時に理解した。 こういうとこは頭の回転がいいのである。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加