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「ご想像にお任せするぜ」
頭をかきながら菜唯人は気まずそうな顔している。
「ふふっ。
漣くんも粋よね」
穏やかに笑う朱菜は何だか楽しそうである。
「……だから金が必要だったんだよ」
ボソリと菜唯人は呟く。
「成る程ね」
菜唯人の呟きで朱菜は色々と確信した。
「あぁ。
バレちまったけど、まぁいいか。
本人にはばれてないし」
観念したのか菜唯人はもう隠そうとしなかった。
「ねぇ。
今日の放課後暇?」
『最終的にばらしたのは自分じゃん』とツッコミを入れたいのをグッと我慢して朱菜はまた話を変えた。
「今日は部活できないからな。
でも朱菜は部活だろ?」
もう菜唯人は朱菜の話変えには抵抗を示さず、会話を続けた。
ある意味、大人である。
「今日は放課後休みなんだ。
たまには休憩しようって話になってね」
偶然なのか必然なのか……。
柏田がいきなり言い出した事に朱菜は若干違和感を感じていた。
「これまた奇遇だな」
菜唯人も不思議そうな表情を浮かべている。
「……ちょっと付き合ってほしいんだけど」
朱菜は思いきって切り出し。
「いいぜ」
意外にも嫌がらずあっさり返事をしてくれた菜唯人に朱菜は少し驚いてしまった。
こうして二人の放課後デートは決行される事になった。
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