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ーー商店街にある小洒落た小物屋ーー
朱菜の提案で二人は放課後寄り道をする事になった。
「放課後デートって初めてじゃない?」
朱菜は嬉しそうに言う。
「そうか?
度々ある気がするぞ?」
平然と菜唯人は答える。
「それは付き合いででしょ?」
『乙女心』がわからない菜唯人に朱菜はぷぅっと頬を膨らませた。
「何か違いがあるのか?」
不思議そうに菜唯人は尋ねる。
「もう、デリカシーのカケラもないんだから」
気持ちをわかってくれない菜唯人に朱菜はため息をついた。
「朱菜みたいな跳ねっ返りに言われてもピンとこないなぁ。
そもそもこんな店朱菜に似合わないしな。
ジャンク屋の方がお似合いだ」
菜唯人は可愛らしいくまちゃんのぬいぐるみを抱えジッと見つめた。
「今日は珠緒に免じて怒らないでおこう」
怒りを堪え朱菜は顔を引き攣らせながら笑った。
「珠ちゃんがどうかしたのか?」
朱菜の言葉に菜唯人は首を傾げた。
「ニブチンね~。
明日は珠緒の誕生日だから今日はプレゼントを買いに来たのよ~」
朱菜は得意げに話した。
「あ、漣だ」
朱菜の話なんか聞いておらず、菜唯人はよそ見している。
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