19人が本棚に入れています
本棚に追加
「違う!
俺は男だ!
そこは譲れない!
男・関山 漣。
女になる気は毛頭ないのだ!」
漣はウィッグが落ちないように押さえながら頭を左右に振って否定した。
「意外と硬派なのね」
漣の譲れない気持ちを聞いた朱菜は感心する。
「でも女装だぞ」
菜唯人は鋭く言う。
「聞いてた?
今の……」
菜唯人の言葉に漣は何だか悲しくなった。
「漣よ、言ってくれれば買い物くらい付き合ったのに」
漣の姿を見て菜唯人はため息をついた。
「何が嬉しくて野郎二人でこんな可愛らしいとこに来なきゃならんのだ」
不満そうに漣は言う。
「納得」
漣の言葉に朱菜は深く頷く。
「いや、俺地味に傷付いたぞ」
朱菜に納得され菜唯人は軽く肩を落とした。
「しかし、ここ高いんだな。
予算が足りるかな~」
値札を見ながら漣は顔を曇らせた。
「朱菜、金よくもってたな」
バイトもしていない朱菜がお金を持っていると思っている菜唯人は素直に感心している。
「ハハ、ハハハ……。
(だから菜唯人と割り勘で買おうと思っていたなんて言えない……)」
朱菜は誤魔化すように苦笑いをした。
「金より気持ち……だと思うぜ」
朱菜の魂胆がわかったのか菜唯人は格好つけながら言う。
最初のコメントを投稿しよう!