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「駄目だ!
前回行なったホレ薬の実験。
結果!極上の豚骨スープが出来上がったじゃないか!!」
「あのスープを使ったラーメンは旨かったなぁ。」
省吾はその豚骨ラーメンを思い返しよだれを垂らすと思い出したかの様に反論した。
「それに!!
あれは成功だろ!
あのレシピを売れないラーメン屋に提供したら、行列の出来るラーメン屋になったんだからな!」
あれをホレ薬と自信を持っていえる省吾が腹立たしい。
明らかに失敗だ。
何てったって飲んだものがホレたのは人間では無くそのラーメンだったのだから。
「あほか!客は人間に惚れたんじゃない!
スープに惚れてんだ!」
そう凄み怒る悟に省吾は両手を叩きながら笑い絶賛する。
「上手い上手い!
さすがは悟。
やるねぇ~♪」
「やるねぇ~♪じゃない!!
なにはともかくパス!!」
「そう言うなよ。なぁ…今回こそは上手く行くかもしれないじゃないか。」
「パス!!」
そうこうしているうちに悟達はトイレにたどり着く。
ガラッと引き戸をあけ一番手前の小便器で用を足すもすぐ隣の小便器で省吾も用を足しはじめる。
「おまっ、離れろよ!
きめー!!」
「ふはははっ。お前がうんと言わない限り付きまとわせて貰う。」
「ふざっ!?
はぁ~…」
負けた…
こう言うときの省吾は本当にやりかねない。
そう思った悟はため息を着きがっくりと肩を落とす。
その姿の悟を見た省吾もとどめと言わんばかりに手を合わせるのであった。
「お願い!まじで。」
等々観念した悟は、顔を上げ、呆れた様な表情で了承した。
「わかったよ…
ただし!失敗したらお前にはオカルトをやめて貰う!!」
「うっ!卑怯な!」
まるで悪者を見るような表情で悟を見る省吾に悟は省吾を指差し怒声を浴びせた。
「そんな覚悟だから成功しないんだ!!」
省吾はハッと思い返し、少し考えると真剣な表情で答えた。
「わかった。
その時はオカルト界を引退しよう。
だが成功したら最後まで付き合って貰うぞ!」
「最後まで?」
「あぁ!死ぬまでだ。」
「なっ!?」
正直嫌だ…
だが成功する確率などほぼ皆無である。
この世には無いものをどうやって呼び出すというのであろうか。
そこを考えると悟はまだ分がある。
「わかった。了承しよう。」
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