第零章

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「やれやれ、櫻庭隊長も本当わかりやすいっていうか……」  けらけらと笑う稲葉副教官に、私はずっと疑問に思っていたことを尋ねた。 「稲葉副教官って、櫻庭教官と仲が良いですよね。ユキ教官も」  どうしてなんですか? と聞くと、稲葉副教官は「ああ」と声を漏らしてから言葉を紡ぎ始める。 「櫻庭教官な、俺とユキの教官なんだよ」 「今では俺地位櫻庭と同じだからタメ口使ってるけどねー。ちなみに俺と稲葉は同期なんだ。もう十五年くらい前になるかなぁ」  え、とつい声が漏れる。櫻庭教官っていつから教官やってるんだろう。鬼だから寿命が長い、ということは本人から聞いたことがあったが、年齢までは聞いていなかった。
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