第零章

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 ギリギリ講義開始に間に合い、私はほっと息をついた。  基本的に訓練生のカリキュラムは、午前が戦闘訓練、午後からは座学が入っている。  訓練生最後の座学は、今までの復習のようなものだった。 「では、悪鬼と呼ばれる存在について――メシアズさん」 「は、はい!」  当たるなー当たるなーと念じれば念じるほど教官が当ててくるのはなんでだろうか。 「悪鬼は人間のみを襲う化け物で、下級と上級があります。下級悪鬼は影のような漆黒の姿をしており、獣にとり憑き人を襲います。しかし上級悪鬼になれば人にとり憑いて生気を奪い、意のままに操ることができます。共に、影の状態では光線や黒い触手で攻撃してきます」  少し文章がおかしい気もするけど、まあいいよね。そんなことを考えていると、教官は座りなさいと促した。 「その答えはまあ、あっています。上級悪鬼に対して物理的攻撃は聞かず――」  私は教官の話を要約してメモにまとめる。きっと、常識なのだが私は自分でいうのもあれだが人並み外れた馬鹿なので自分の言葉で纏めなければすっと理解できない。  まずは人間から上級悪鬼を離れさせ、影の状態に戻す。上級悪鬼に有効なのは妖術に魔術、そして弱らせたら封印具に封印。  封印具とは、鬼狩正規隊員になれば各自もらえる、封印した上級悪鬼を浄化するためのもの。形状は様々で、人によってはブレスレットだったり指輪だったりする。  上級悪鬼を封印した封印具は直ちに浄化班に持って行き、浄化しなくてはならない、ということも私は座学で学んだ。
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