第零章

6/20
前へ
/175ページ
次へ
 私、ユウイ・メシアズは今、悪鬼を討伐する組織、【鬼狩】に所属する訓練生である。  十八の頃に訓練生として鬼狩に入隊し、今現在二十歳だ。二年間の間訓練はかかさずやってきたが、自分が強くなっている気がしないのは気のせいではない。  成績は戦闘班の中でも実技、座学ともに下の下であり、本当にどうして未だに落第せずに残っているのかわからないほど。  正規隊員には訓練を終えれば自動的になれる仕組みではあるが、どの隊に入るかも不安で不安で仕方ない。 「はあ……明日隊の発表とか私不安で不安で仕方ないよ」  柳さんは私に笑いかけながら、「私、ユキ教官のとこ入れるといいなー」と、そんなことを言う。  ユキ教官。確か第二小隊の隊長で、白髪だけど若い優しそうな笑顔の男の人だったと記憶している。そう、まるであの人みたいに。  ユキ教官みたいな人があの人だったらいいのになあと、私は呑気にそんなことを考えていた。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加