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「おーわったー!!」
今日、最後の授業を終えて、んーっと背筋を伸ばして深呼吸。
ふぅ……今日も1日疲れたな。
「じゃあな、孝雅、部活行ってくら」
後ろの席の優羽がエナメルバッグを片手に俺の肩を叩く。
「あいよ」
こちらに背を向けて、左手をひらひらと振りながら教室を出て行った。
俺も行くか。
校章の入った布地の鞄に必要な教材とノートだけを詰め込んでいく。
「孝雅、いる?」
聞き慣れた声のする方に目をやる。
さっき優羽が出て行った教室の入り口に紗弥音が立っていた。
紗弥音も俺に気付いたようで目が合う。
すると、ニコッという愛らしい笑顔で手を振った。
高校生になって紗弥音と再会してから俺はつくづく思う。
紗弥音という昔から馴染みのあった女の子が、離れ離れになった数年間でこうも可愛くなったのだと。
かつては異性として見たこともなく、ただの遊び相手に過ぎなかったのに。今は立派な可愛い女の子になってしまっている。
だから、俺でもドキッとすることが……たまにはあるさ。
不本意だけどな。
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