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「なにぼーっとしてんの、ほら、行くよ!!」
俺がそんなことを考えてるうちに紗弥音は目の前に来ていた。
「あ、あぁ、わかった」
「……ふふーん……さては、変なことでも考えてた?」
まるで脳内を見透かされていたような……こいつはそんなタイミングでこのセリフを吐く。
「え、いや、そんなことは……」
しどろもどろにならざるをえない。
紗弥音がじーっと俺の目を捉えている。
正直に言え、というような眼差しで。
……言えるもんか!!
「……ほら、行くぞ、部活!!」
紗弥音から逃げるように鞄を持って早歩きで廊下へ向かう。
「あ、ちょ、逃げるな!!」
逃げてねーよ。
彼女に背を向けたまま口にする。
足音で紗弥音が慌てて後ろに着いてきてるのが分かる。
『可愛くなったな、って思ってた』
なんて言えるわけねーよな。
目を合わせたらバレてしまう。そんな気がした。
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