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「あ、ゴメン。
つい夢中になっちゃったみたいだね」
私の呼び掛けに、千堂くんの表情は元に戻ったような気がした。
「だから忠告したでしょ?僕は血が好きなんだよ。
安易にこんな事されたら――」
彼が話している途中で、ドアが閉まったような音が響いてきた。
すると彼は「……やっと来たね」なんて、ポツリと呟く。
次の瞬間、手首が強く引かれ、気付けば私の身体は壁へ押し付けられていた。
「え、ちょっとっ!?」
慌てる私に対して、千堂くんはその身体を押し付けながら妖艶な微笑みで囁く。
「ねぇ、椿。
僕の彼女になってよ」
吐息が掛かる程近づいてくる、美しい顔。
「そしたら僕は、椿だけで欲求を満たすから」
見とれながらも鼓動が高鳴っていく。
その先の展開に期待を抱く自分に、私は気付いていた。
もうすぐ、唇が……――
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