第1章【危ない隣人】

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「あ、ゴメン。 つい夢中になっちゃったみたいだね」 私の呼び掛けに、千堂くんの表情は元に戻ったような気がした。 「だから忠告したでしょ?僕は血が好きなんだよ。 安易にこんな事されたら――」 彼が話している途中で、ドアが閉まったような音が響いてきた。 すると彼は「……やっと来たね」なんて、ポツリと呟く。 次の瞬間、手首が強く引かれ、気付けば私の身体は壁へ押し付けられていた。 「え、ちょっとっ!?」 慌てる私に対して、千堂くんはその身体を押し付けながら妖艶な微笑みで囁く。 「ねぇ、椿。 僕の彼女になってよ」 吐息が掛かる程近づいてくる、美しい顔。 「そしたら僕は、椿だけで欲求を満たすから」 見とれながらも鼓動が高鳴っていく。 その先の展開に期待を抱く自分に、私は気付いていた。 もうすぐ、唇が……――    
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