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反射的に目を閉じてしまった、まさにその時、玄関からドカドカと乱暴な音が近づいてきた。
「つばきっ!!」
「……雪兄?!」
身体を怒りに震わせて怒涛の表情をした雪兄は、千堂くんから引き離すように私を抱き締めた。
対して、全く驚かない様子の千堂くんは涼しげな顔で言う。
「椿、これで分かった?
僕が椿と雪さんの全てを知ってる理由」
千堂くんにそう言われても、私には全く理解出来ず、それどころじゃない脳内は雪兄への罪悪感でいっぱいだった。
「お前、椿に何しやがった!」
雪兄は私から離れ、その大きな手で千堂くんの襟元を掴む。
それでも尚、千堂くんの表情は穏やかなままだ。
「ただ、椿が知りたがってた事を教えてあげただけですよ。
貴方達の危なっかしい話し声や行動は、隣人の僕にはみんな筒抜けだってことをね」
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