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「ただいまー」
「おかえり、雪兄」
夕方、雪兄は帰ってくるなり無言で私を抱きしめた。
「どうした、最近元気ないぞ。
具合悪いか?」
今日も雪兄は優しい。
いつも私の身体を気遣ってくれるし、考えてくれている。
そして私に温もりをくれるのは、他の誰でもなく雪兄なんだ。
雪兄、だけなんだ……。
充実しているような、寂しいような、不思議な気持ち。
私は小さな声で雪兄に訊ねた。
「ねぇ、雪兄。
人を愛するって、こんな気持ちなのかな?」
彼は何も応えないまま、こちらをじっと見詰めてくる。
私の身体はそのままソファーに押し倒され、重なった雪兄の体重に、それはミシリと音を鳴らした。
「椿、ドキドキする?」
「うん」
「俺にどうして欲しいか言ってごらん?」
そんな質問に対する答えが見付からなくて、私は黙りこくってしまった。
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