第1章【危ない隣人】

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――そう。 私は実の兄と、そんな関係だ。 兄妹の様な、恋人の様な、少しだけ危なっかしい関係。 雪兄は、毎日私に「愛してる」と囁き、抱き締め、キスをしてくる。 両親の記憶が殆んど無い私にとって、そんな雪兄の優しさが、何よりも大好きだった。 だから彼氏なんか出来たことは無いし、体が弱いせいで学校だって殆んどど行かなかったものだから 私の限られた世界では、雪兄が誰よりも大切でかけがえのない存在になっている。 そんな私にとって、窓から見える楽しそうな風景は憧れで、新鮮で そして、千堂くんを見かけてからというもの、日常の景色は今まで以上に鮮やかになったような そんな気がしていた。
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