第2章【制服遊び】

8/20
前へ
/306ページ
次へ
反射的に聞き耳を立ててしまう自分を制御する余裕すらなく、やがて、千堂くんの部屋のドアが閉まる音を聞いてしまう。 それは彼女が、隣りの千堂くんの部屋へ入ったという証しだ。 もしかしたら、ウジウジしている私に呆れ果てて、あんな可愛い彼女を作っちゃったのかな? でも、そもそも…… 千堂くんに、彼女がいないなんて話、一言も聞いたことは無い。 彼はあんなに端整な顔立ちをしてるんだから、もしかしたら、元々あの子と付き合っていたのかもしれない。 すごく可愛いコだったし。 “嫉妬に燃える女” 今の私には、そんな言葉が似合ってしまうのかもしれない。 悔しい気持ちと悲しい気持ちとが混ざり合って、ズキズキと疼く様に胸が痛む。 冷たい壁の向こう側で、小さく響く物音。 耳を澄ますと、ここまで聞こえてしまうものかと、少し恐くもなった。 もう止めよう、こんな事。 改めて考え直した時、私はちょうど、その言葉を聞いてしまう。
/306ページ

最初のコメントを投稿しよう!

154人が本棚に入れています
本棚に追加