第1章【危ない隣人】

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「楽しそうだなぁ~」 思わず、そう呟いていた。 家々の合間に千堂くん達の通う校舎が見えるから、あまり経験できなかった学校生活が、今更ながら羨ましい。 少し肌寒い秋風と、そよぐ銀杏並木。 整然と並ぶ木々が揺れる音は、まるで波音のようで私の心を踊らせる。 ……あ、いけない。 仕事しごと! 慌ててデスクに向かった私は、ノートパソコンを起動させた。 身体の弱い私が出稼ぎしなくて良いようにと雪兄が薦めてくれたこの仕事が、私はすごく気に入ってる。 “小説家”なんて呼ぶには、まだまだ無名だけれど、物語を紡ぐこの仕事は、自分が違う世界に飛び立てるから大好き。 いつも執筆にのめり込んでしまうから、気付けば夜だった、なんてザラだったりするわけで。 ――だけど何故か、この日だけは違った。 何だか心がソワソワしていて、どうしてだろう……無性に外へ出たい気がする。
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