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私は、どうしようもないほど醜い女。
ご都合主義で、優柔不断で、八方美人で、、、
ぶつけようのない悔し涙は、そう簡単に止まってはくれなくて、私は涙を堪えようと、必死で歯を食いしばった。
全ての現実から逃れようとギュッと目を閉じた、その時……
震えの止まらない私の肩は、温かい体温に包まれた。
美しい顔に、妖しくも穏やかな微笑みと、そしていつも通りの、穏やかな声――
「ごめんね。
やりすぎちゃった?」
彼は困ったように微笑んで、私の背中から優しく抱きしめてくれている。
窓から流れ込む冷たい風が、ぬるい涙を冷やしていく。
「もしかして、いつもの悪戯だったの?」
「今朝の椿があんまり優柔不断だったからお仕置きのつもりだったんだけど
まさか泣くとは思わなかったよ」
そう言って、彼は私の頬に流れる涙をペロペロと舐め始めた。
何かあると、いつも窓から侵入してくるんだから。
困った人だ。
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